森本めぐみ展「ワークス」/本田征爾展「―幻灯宇宙―」
2009年 04月 30日
26日、森本めぐみさんの個展「ワークス」を見に、品品法邑を訪ねた。
ここ数年森本さんが行ってきた活動の集積的な個展で、
アクリルアワードの大賞に輝いた、
「On the field」を中心に、多くの作品が展示されていた。
布、紙、ベニヤ、パネル、作品の素材から見ても様々で、箇所にまとめて配置されている。
天井の一面から、(ダンボールを人型に切り抜き、表情などを吹き込んで
子どもの肌着で作ったという下着を穿かせている)“ハレンチちゃん”がぶら下がる。
頭上での可愛いらしい歩みが、一見ばらばらな作品たちを繋ぎとめているように思えた。
新作「なくしたゆびわ」。冊子のかたちをとった、旅の記録。
ただのひとり旅ではなく、指輪という相棒と共に旅をするなんて、さすが粋である。
道中に描いたと思われる絵日記も掲載されていて、臨場感たっぷり。
これがなかなか魅力的で、
なぜかというと、読み手がはらはらさせられるような出来事や言葉がたくさんでてくるから。
旅は何が起こるかわからない。考えてみれば、当たり前なのだけれど。
お気楽な観光旅行としてではなく、
あらかじめ、覚悟(指輪)をもって旅に臨まれているため、
その記録にも凄みが増しているのだ。
読後、私が「楽しいだけの旅ではなかったかもしれませんが……」と言いかけると、
森本さん本人は「いえ、楽しかったですよー」と笑顔で切り返してくれた。
その邪気の無い笑顔に、少しびっくりした。
旅の中であんなこともこんなことも、あったのに?
作品となった時点で、森本さんの旅は
森本さんだけのものではなくなっているのかもしれない。
何かそういう視点で、ご自身の事も、突き放されているのかなあ、とぼんやり感じた。
→2月に行われた森本めぐみさんの個展に関する記事
28日、ギャラリー門馬ANNEXで、本田征爾さんの個展「―幻灯宇宙―」を見てきた。
本田さんとは、キッサ開化の展示でお会いしたことがある。
北大の水産学部を卒業された方で、以前、まぐろ調査船に乗船されていたそうだ。
その経験が生かされているのか、
細部まで丁寧に描かれた空想の生き物(特に魚類)の絵が印象的だ。
ANNEXの真っ白な壁に飾られた、本田さんが描く生き物たち。
絵ばかりではなく、石膏粘土で作られたオブジェ作品も展示されていた。
それもまた、本田さんの創造された生き物であり、
一瞬、驚いてしまうほど鮮やかな色で彩られている。
少しどぎつい印象も受けるのだが、よく見れば、その目は優しい。愛嬌がある。
キャプションに貼られた、売約済みの赤いシール。
本田さんが送り出す生き物たちが、玄関や、机の上などに置かれたとき、
生き生きと動き出すのではないか……。
そんな想像を重ねて、思わず微笑んでしまった。
ANNEXの突き当たりにある、ガラス扉を開けると、ふと、森の中に迷い込んだような光景があった。
モクレンの白い花が目に焼きつく。しばし、ぼうっと春に身をゆだねる。
こういう時間をもっと大切にしたい。
***
25日、NHK「短歌日和」を見る。
5時間にわたる生放送で投稿された短歌を紹介し、その場で審査するというもの。
短歌の下読みをされるという方から、番組の宣伝を受け、面白そうだと思ったので録画。
石原ユキオさんの投稿された短歌が読まれ(確か、選ばれたのは穂村弘さん)、
思わず「あああ」と叫んでしまった。
石原さんのことはよくは知らないけれども、叫んでしまった。
どこから、叫ぶような力が湧いてくるんだろう。おばさんみたいだ笑。
生で投稿なんて、私にはそんな俊敏な行動がとれそうにもない。
とっさに思いつく、ってやつだろうか。
悲しいかな、まるで縁が無いぞ笑。
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by moonpower0723
| 2009-04-30 23:15
| 美術部の人々、札幌アート