骨の雪を積もらせて
2009年 04月 23日
喪服の黒い背中に
はらはらと降り積もる骨の粉。
箸を握ったまま、ふと見れば、私の制服の肩も白い。
祖父の骨を、箸で拾った。
砂糖の一匙でいがみ合う母と祖母に
いつもは聞き流せる祖母の執拗な呼びかけが、どうしても苛立つ今日に
降り積もれ。
全てを隠しておくれ、骨の雪。
生まれたからには仕方がない。
生きなくては。
結果的に老いても
呆けても
嫌われてしまっても
素知らぬ顔で生きなくては。
骨壺の中では
焼きたての熱い骨が
乾いた音を立てるのだ。
涙が、出た。
死んではいけない。
理屈ではなく、
ただそういうことだと知った。
祖母が死んでも、私は泣くだろう。
ろくに話もしたことのない同級生が死んでも
私は泣くだろう。
骨の雪に、
見入ってしまったから。
家に吹き荒れる、ちょっとした嵐だって
きっと私はどこかで愛しているのだ。
失っても、失っても
こちら側にいる私たちは
生きていく。
骨の雪を積もらせながら。
by moonpower0723
| 2009-04-23 20:46
| しるし