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「おおらかなリズム」展

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一昨日は下の記事(「ばらんす。」)を書いた後、夕方
北16条のテンポラリースペースへ
shuさんの個展「おおらかなリズム」を見に行きました。
私の方向音痴もだいぶマシになってきた気がします、すんなり到着しました^^
(といっても、通りかかった窓からshuさんの後頭部が見えたからですけど←)
驚いたのは、ギャラリーの広さがたまらなく心地よいこと。
広すぎてもどう歩いていけばいいのかわからなくなるし、狭くても作品との距離が近くなりすぎる。でも、ここは壁が際を這い、床が私の歩みを支えているのをはっきりと感じるのです。踏みしめるとギシッギシッと木目に震動が伝わります。当たり前として空間があるのです。絵、というより作品展という名の空間でした。
かるいからだ”のときは赤が強くて少しはらはらしたので、色数があり、ほっとしました。
それぞれの線が自由に吹き伸びてる、でたらめに、無秩序に?いや、面白い。
はしごで登る吹き抜けの2階は、少しこわいけれど、こわごわとパネルを覗き込む楽しさがあります。

そのまま2階のベンチに腰掛けて、愚痴をこぼしていたところ、渋い声が階下から聞こえてきました。shuさんではない。はて?と思って見下ろしてみれば、その方はニヤリと笑みをこぼされる。テンポラリースペースのオーナー、中森敏夫さんでした。
その後、中森さんの書斎にてお話をお聞きしました。
以前から何度かテンポラリー通信を拝見していた私にとっては、とても不思議な思いです。
中森さんもここ(「お月さまになりたい。」)をご存知だったので驚きました。
「『大人は過去が好き』、確かにそういう大人もいるよ。
でも、過去がないと現在はないんだから。」
同日思いのまま書き込んだ記事を、やんわりいなされて、どきりとしました。
詩人吉増剛造さんの「石狩シーツ」や、本来あった美しい札幌について、川にまつわるアイヌ語の快い響きや、57577(みそひともじ)のリズム、やわらかなバッハ……。
とうてい私など追いつけない話題で、相槌を打つばかりでしたが、だからそ行き(息)詰っていた心も、その視界も解かれていくようでした。この身は何も知らない、何もありはしない、それは恥ずかしいことではなかったのです。だって、知らないから吸収したいと思うのだもの。世界を吸収して、それを書くと心に決めたのだもの。書いたり描いたり弾いたり撮ったり演じたり人はするけれど、そこに意味をもたせるってどういうことだろう。ここにも、私の中にもあるはずなのに答えを見つけるのは難しい。だから、胸いっぱいに吸収することを自らに課そう。課さなくても毎日がそうなのですから。

中森さんの薦めてくれた
札幌で育った歌人、糸田ともよさんの歌集「水の列車」

水の列車―糸田ともよ歌集 (月光叢書)
糸田 ともよ / / 洋々社
ISBN : 4896748344




言葉だけが先に起きだし私を裏切ってゆく 空いっぱいの冬の蝶

ぱら、とめくったところで目に入ったその歌が、私へ光をぶつけてきました。
詩集と同じく、歌集も高額です。けれどもその場で迷わず買いました。
久しぶりにいい本の買い方をしたと思いました。
(第17回北道新聞短歌賞佳作受賞作であることを後から知りました。しかし、そんな肩書きが陳腐に感じられるほど素晴らしい歌集です)

さらに小樽の詩人、高橋秀明さんの詩集をいただきました。
第2回小野十三郎賞受賞詩集です。
「別冊・詩の発見」にもお書きになっている方でした。

言葉の河―高橋秀明詩集
高橋秀明 / / 共同文化社
ISBN : 4877390308



この2冊に共通していること、水――
中森さんのお話から、川は主流とたくさんの支流でできていることを知ります。
それはまるで、この身体に流れている血潮のようではありませんか。
ことばは水に似ている、と仰った詩のボクシング全国大会チャンピオンの木村恵美さんを思い出します。
器によって姿を変える水とどう向き合うか。そのままの私を映してくれるでしょうか。
みなも、水面――。

他にも吉増剛造展のパンフや、吉増さんの写真ポストカードをいただきました。
「水の列車」を開くと、タバコの匂いがします。私には慣れない匂い。
中森さんは言葉の自然な響きを楽しんでいます。「好きな詩人は?」と聞かれて戸惑った私の様子もすぐに察してくれました。あらゆるものを削られ、あらゆるものを捨てた人のまなざしでした。生まれて初めて、タバコの匂いを肯定的に受けとめています。あの煙のくゆらせ方は、ちょっと忘れられないのでした。
磨かれた一日でした。
うん、書けそうな気がする。

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斎藤周展「おおらかなリズム」

会期:2008年6月7日(土)~6月22日(日) 
会場:テンポラリー・スペース
(札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503 )
時間:11:00~19:00 (月曜休廊)




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by moonpower0723 | 2008-06-17 12:53 | 美術部の人々、札幌アート

文学少女は詩人をめざす


by moonpower0723