わけもなく、どきどき。――池田晶子「言葉の力」
2007年 09月 23日
ことばが私に言うんだ。
“もっとどきどきしろ”
血管の中で
細かいあぶくがたつように
もぞもぞする。
ああ、生まれそう。
詩が生まれそうだよ。
ある詩人さんのブログを見てたら
すごいどきどきした。
わけもなく。
あらゆることが。
涙が出そうで出ないとき
ことばを舌の上で味わうとき
活字が白い紙に刻まれ始めるとき
私の糸はたゆたいながら、
つむがれていく。
ひっきりなしだ。
ことばをゆるがせにしないでください。
世界はことばだ。
中学三年生のとき教科書で
「14歳からの哲学」で有名な女性哲学者、
池田晶子さんの書き下ろし「言葉の力」を読んだ。
ちょうどいまくらいの時期だったと思う。
それについての感想や意見を教室にいる全員が
発表させられていたけれど
「ことばが世界をつくった」という彼女の意見に
賛成できない生徒がとても多かったことをよく覚えている。
けれども
私にとってはちっとも極端な話ではなく
どちらかといえば
心の隅で感じ取っていたものを
池田晶子さんが哲学として
ことばにしてくださったので
とても感慨深かった。
ちなみに、池田晶子さんは
今年の2月に46歳という若さで亡くなった。
すぐさま書店では
池田晶子さん急逝を偲ぶ、
として特集がくまれ、
哲学からエッセイまでさまざまな著書が
ならんだ。
ことばが本になること。
本になった文章が読まれ
読者の心の中でことばになること。
どきどきする。
池田晶子さん、
私はどきどきしますよ。
ちょうど一年位前に自分が書いていた文章
を読んで
どきどきする。
あのころに比べると
私もまるくなったのかなあ。
けれど
ことばがまるくなりすぎるのは
あまりいいことではない気がする。
ことばは私を幸せにするのか。
不幸にするのか。
ことばをモノにできるのなら
不幸など怖くないと
胸を張っていられた自分は
幼さゆえの拙さ。
いま思い返せばとても小さい。
けれどもけれども
ことばが好き。
焦がれる。
もう逃れられない。
逃れたくない。
逃れたくないのだけれど
逃れたいふりをして
つかまってみせる。
ことばをモノにすることはできない。
それは確信だ。
だからこそ
もっとことばを知りたい。
矛盾を感じるとき
それをことばにして
世界を正していく。
矛盾を正す。
自分を正す。
正すことを正される。
物語性によって
現実性は正される。
ああ、想像するだけで
わけもなく、どきどき。
読んでくださり、ありがとうございます。一読一回クリックしていただければ幸いです。
あなたの拍手でもっともっと頑張ります!よろしければ一言メッセージにハンドルネームを入力して送信してくださいね。
「もっと送る」をクリックすると画像が変わることがあります。
by moonpower0723
| 2007-09-23 16:43
| ことば