ヴァージン捨てた。
2010年 05月 06日
処女髪を 染めた。
光にあてると、うっすら赤茶色。
いづみさんのように、赤い髪が似合うようになりたい。
連休中は寮の食堂もお休み、共用のキッチンで夕食の素麺を冷やしていたところ、うすらかな壁がはらっと落下、「尖ることも忘れないよ」ってそんな音が背後で砕けて、振り向くと平皿ワイングラスフォークを片手に積み上げたままドアから半身をのぞかせ固まっている同じ階の何某さん。彼女の足元には、開きすぎた百合のようなガラスコップの蕾と、こっぱみじんと化したその片割れが散っており、床から壁にかけて赤い飛沫が上がっていたから「大丈夫?」と反射的に発声。寮の親睦会で言葉を交わしていたにもかかわらず、何某さんは俯いたまま「すみません。気にしないでください」などと恭しい。合点した私は向き直り、笊の隙間に挟まったそうめんを再び取り除き始めたけれど、はあ、どうしよう、やばいなあ……、という物悲しい呟きを背中で受け続けられるほどには薄情になれず「うち、部屋近いから雑巾持ってこようか?」と口にしてみたものの、彼女の〈きれい嫌い〉が見抜けなかったのだろうか、「いいです」と部屋からもってきたらしいピンクの雑巾で壁を激しく撫ぜる何某さんのくびすじを見つめるばかり。そうこうするうち、洗い物を抱えてやってきた某先輩が二回目の「大丈夫?」。「寮母さんに怒られるわ。壁汚しちゃったけん」と、なぜか方言丸出し且つタメ口で、嬉しげに答える何某さん。「これ、ケチャップ?」「ううん。野菜ソース」「ソースかあ」水を吸ってのびのびの素麺とチンした餃子を持って、キッチンを抜け出した私を襲う靄、ああこれが疎外感というやつで。100%オレンジジュースにふさわしいガラスコップ(死亡)に、野菜ソース(トマトピューレの氾濫)が注がれたこと、未成年の何某さんが直径10センチの大きなワイングラス(生存。使用済み)を所持していることの意味を追求したい衝動に駆られるも腹が減って、けれど肝心な素麺はガラスの破片を絡めて食べているよう、それは単にイアン・マキューアン『イノセント』をめくりながら啜ったせいかもわからない。おお、愛しい晩酌、マキューアン。
拙い歌(前記事)にご感想をお寄せくださり、ありがとうございました。
必ずお返事いたしますので、お待ちいただければと思います。
5月は気がつくと、締め切りと打ち合わせだらけになっていました。
締め切りがあるってすばらしい。打ち合わせもたのしい。
怖くてまだ一度も渋谷に行っていません。原宿は一度だけ。だれかー。
東京むんむんしています。暑さより湿気がこたえるなんて。
by moonpower0723
| 2010-05-06 23:56
| わたし