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昨日に引き続き、今日も吉増剛造展に関するイベントへ足を運んだ。
北海道立文学館の講堂にて
“鼎談1 言葉のざわめき、おとのねにおりてゆくとき”

館内に入って驚いた。文学館の床に吉増さんの原稿の拡大コピーがまばらにちらばっている。吉増さんが歩いた後を追っているようだ。
昨日のトークショーは、吉増さんとその疾走についてのトークバトル(?)で、テンポのよさに飲まれていったが、今回の鼎談ではゆったりとした時間を感じた。

講師のご紹介

 吉増剛造(詩人)×柳瀬尚紀(英文学者)×工藤正廣(北海道大学名誉教授)

翻訳の壁を詩の言葉によって越えてきた柳瀬さん、
「吉増さんは半拍くらい先の音を聞いている。
それも今の音を聞きながら、半拍先の音を構築している」と話した。

始まってすぐに、羽生さんの話が出た。
まさかと思ったが、なんと棋士の羽生善治さんだ。
羽生さんが詩と関わっていたなんて!
詳細をあるページで見つけたが、吉増さんと今回の鼎談の講師のひとりである柳瀬尚紀さんも、羽生さんと過去に対談している。
対談の収録された本のタイトルは「対局する言葉」「盤上の海、詩の宇宙」。すてき。
吉増さんによれば
「羽生さんの思考の動きをじっと見ていたい。
対談したとき、
『将棋っていうのは互いに盤上で粘土をこねるようなものだ』って言っててね、
ソクラテスが同じようなことを言っています。粘土を脳に例えて。
でも、羽生さんはそんなこと知らないのにそう話したんです」
羽生さんというのは、盤上で詩を目撃されてきた方なのだろう。

今日も映像作品“GozoCine”が上映された。
“GozoCine”7本目の「熊野、梛の葉」である。
2006年12月6日撮影の15分29秒。

糸につるされ揺れる宝貝と。うつりゆく車窓の景色。
暗闇のトンネルの中で発光する、宝貝。
麦いろの畑をひた走る宝貝。火を打つような音で鳴く。
キセキによって時間が見える。
宝貝が本の上を這う。野口冨士男の「なぎの葉考」の世界をさ迷う。
貝の奇妙な影が、黒い活字に重なって、活字を食べている。
これは……吉増さんが貝になって旅をしているようだ。
キセキを付け忘れて、ノーマルな映像になった。
ノーマルピンチハンガーで橋を渡る。
残像を捨てて、目をカッと開いた感じがする。
吉増さん、限界になって橋の桟によりかかり、朗読し始める。
水が語りかけてくるところまでいかねばならないのだ。
力尽きるピンチハンガー。。。

「プール平」は本当に奇怪な感じがしたけれど、
「熊野、梛の葉」は少し滑稽な面白みがあって、安心して見れた。
見ていない人に説明するのはとても難しいけれど、
貝が旅行している、そんな映像だった。

今回も“本日限りです”資料が配られた。
その資料の一面に
アメリカの詩人エリザベス・ビショップの「Pink Dog」という詩の原文と、
その詩を小口未散という方が訳した「赤裸の犬」が載っていた。
「Pink Dog」すなわち「赤裸の犬」について吉増さんは
「エリザベス・ビショップ最後の作品をお土産として配りました。
おまえ乳首がある、母親じゃないか、おまえ子どもどこにやったのさ?
こんな剥き出しの犬見たことない!
我々の中にある骨だってこういう色をしてるんじゃないかな、身体の中で」
素晴らしい詩篇に出会えたイベントだった。

イベント終了後、「詩の黄金の庭 吉増剛造展」をいよいよ見ることにした。
閉館は17時だ。すでにそのとき4時半をまわっていたのだが衝動をおさえきれず、観覧料を支払おうと受付にむかったところ、
何も聞かれず「600円です」と言われる。
キョドリながら、学生証を取り出そうとすると
「あ、学生さんなんですか?」
「はい、高校生です。」
「350円になります」と告げられた。
記念すべき瞬間である。いつも中学生と間違えられるのに(えっへん

受付の方から「展示された詩を一編一編読んでいたら、全部見れませんよ」
と忠告されていたにもかかわらず、一字たりとも見逃すことができなかった。
細かな文字。“昔の人の字”を解読できない私の目には
吉増さんのくずされた、でも美しい字が一目では読めない。
読む前に見て味わい、そして目をこらして読む。
吉増さんの声が通路の壁に取り付けられた小さなスピーカーから流れ出てくる。
スピーカーに気づかないまま通路を歩き出した私はびっくりしてしまった。
あのアイディアはすごいな。
半分も見れないうちに、気がつくと館内アナウンスが流れてはじめた。
日を改めてまた足を運ぼう。

*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*

文学館を出て、近くの神社に寄った。学校帰りにも以前寄ったことがある。
興ざめいってしまったが、くぐって厄払いをするという笹(?)でできた輪が印象的だった。

帰りに本屋に寄って、集英社文庫を買う。
“ナツイチ”を買うともらえるストラップが、去年より少し大きくなっている嬉しい。
でも、デザイン的には去年が好きかも。
実は去年のストラップまだ携帯につけてる私笑
ナツイチ限定で、太宰治が、漱石が、そして中也が、カバーイラストになってるッ(驚
この企画、「人間失格」だけじゃなかったのか。
中原中也の「汚れつちまつた悲しみに……」の表紙を見てほしい。

そんなわけで、ナツイチの中から2冊今年も買った。
「いじめの光景」「二十億光年の孤独」。
前者は学校のゼミ研究課題用に。
後者は、言わずと知れた谷川俊太郎さんの処女詩集。
1年生のとき英語の先生がOCⅠの授業で
「巻末の英訳が素晴らしい!是非買いなさい」と言っていたのをずっと覚えていて探していたのだが、集英社文庫だったのか。一般的によく買われている愛蔵版には英訳がなかった。
あのとき、先生が
「二十億光年の…喪失?だっけ?二十億光年の…」とどもっていたので
反射的に「孤独」と低い声で口にしてしまった。
その声は思った以上に響き渡り、
教室が一瞬しんっと静まり返った。
しらけた視線が刺さった痛み、いまだこの背中に覚えている。
もし「二十億光年の希望」とか「二十億光年の夢」というタイトルだったら
あの羞恥を経験しなかっただろうとも思う。
いくらなんでも授業中に「孤独」なんてつぶやいてしまうなんて。
どんな女子高生だ笑。
集英社のナツイチHPでは、同詩集が“いやし”ジャンルに入っている。
癒されるのだろうか、「孤独」なのに。


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by moonpower0723 | 2008-06-29 22:29 | 詩の仕事
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今日から、8月31日(日)まで、
北海道立文学館の特別展示室にて、「詩の黄金の庭 吉増剛造展」が開かれる。
詩人、写真家、俳優、映像作家として世界を舞台に創作活動を行う吉増剛造さんの企画展だ。

関連するイベントが展示終了までいくつも催されており、
今日はオープニング・イベントとして、トークセッション「吉増剛造の現在」
北海道立近代美術館の講堂で行われた。
事前に電話をかけて予約、吉増剛造さんが特集された07年「現代詩手帖」2月号を鞄の中に、母の弁当も持参し、いざ……学校の土曜講習に笑。
講習を無事耐え忍び、ダッシュで学校を出る。
イベント開始は14時だったので、美術館の中庭で、ひとり急いで昼食をとり、館内へ。
受付で名前を言うと「どうぞ」とにこやかに会場に入れてもらえる。
え、なんか凄い笑。むふ、楽しみ。
会場の席はすでにかなり埋まっていた。真ん中の列の席には、ご婦人方が多いのだった。
ひとりだけ制服、なんていう問題じゃない。
自分の髪が黒々していることを認識する。明らかに浮いている。
まぁ、そんなもんだ、と開き直り、前から2、3番目の席を陣取った。

出演者を紹介↓

吉増剛造(詩人)×小林康夫(東京大学大学院教授)
×高橋世織(東京工業大学特任教授)×工藤正廣(北海道大学名誉教授)(司会)


トークセッションの始めに、お客さんひとりひとりに配られたお土産は
資料という名の原稿のカラーコピーだ。「詩ノ汐-穴」(元祖「プール平」)の原稿。。
今日のイベントでしかもらえないものらしい。たいせつにしよう。

トークセッションの始めから終わりまで、
私はとにかくメモをとったり、吉増さんをスケッチしたり(こら)忙しかった。
出演者の細かいやりとりについては、後日他のイベントの感想ともまとめて書くことにする。
とにかく嬉しかったのは「プール平」を視聴できたこと。
そして、何より感激したのは吉増さんを間近で拝見できたこと笑。
なのでそれらに関して、感じたことを素直に書いていきたい。
このイベントは今日限り。二度と同じ場面には出会えないのだ。そう思うとここに書くことでさえ、惜しもうとする気持ちがはたらく。イベント自体は終始和やかな雰囲気で行われた。

吉増さんは黒い上着の下に、首元まできっちり絞まった白いシャツを着ていた。
今日は日差しが強く、暑かった。他の出演者の方は、ボタンが開いていた。
高橋さんだったか、まずこう話した。
「『吉増さんはどういう詩人?』ってもし聞かれたら、一言『疾走』って答えるね。
ある疾走感をもっている人だ。
でも速いだけが速度ではなくて、“ゆっくり”や“爬行”だってまさにすごいスピードなんだよね。
吉増さんはポエジーというか、全身が詩なんです。
自分の気持ちを伝える、という詩の書き方をしている人は
絶対に彼についていけません」
当の吉増さんはその間、持参した袋からテープやら書籍やらを丸テーブルへ並べている。
そのようすに他二人は「ちょっと、何ですかこれ」とつっこむ。
どうやら、東京の自宅からわざわざ他の出演者の著作物を持ってきたようなのだ。
そこで吉増さんは究極的な優しさを持つ方であることが発覚した。
持参したデジカメで、小林さんを撮影し始める吉増さん。
ところが、そのことについて問われると、
「赤ん坊の目と、機械の目は似てるんだよね。
(卓上のミネラルウォーターの)ペットボトルの青いフタがカメラから見た方がきれいなんです」
小林さんは笑いながら
「僕を撮ってるんじゃなくて、フタのブルーに引き寄せられてって、
いつのまにかフタを撮ってるんだねぇ。
色を目指して疾走してるね」
なるほど、まさに疾走である。
吉増さんの手にしたデジカメのモニターに映る、小林さん、高橋さんらしきものが
話の間中、気になる。らしきもの、気になる。

イベントの前半に、スクリーンを下ろして、「プール平」が上映された。
「プール平」とは、“GozoCine”(吉増さんによる一連の映像作品のことを示す)の4本目で、2006年10月15日に吉増さんによって撮影された7分29秒の映像作品だ。
作品の流れは「現代詩手帖」の特集で読んでいたので、知っていたのだが、
やはり誌面で映像(を切り取った写真)と吉増さんの声(をテキスト化したもの)へ別々に目をこらすのと、実物を視聴するのは全く違っていた。
これほど肉体が、私自身が、うち震えた7分29秒はこれまであっただろうか。怖い。書くのが怖い。表現できない。でも諦めない。
ピンチハンガー(いくつもの洗濯ばさみが垂れ下がっているハンガー)に貝殻や小石をくくりつけたものを持ち、水の干上がったプールの底を歩く。積もった雪の間からプールの青い底が見えて、鮮やかだ、鮮やか過ぎる。キセキという装置により、映像は残像を引きずる。プール平という文字が揺れている。息継ぎを探す。ハンガーの貝殻が互いにぶつかって、音を立てる。カラコロと骨が笑うように。そうして、かつて水があったその空間に水が生まれる。
映像が終わったとき、圧倒されてちょっと呼吸がおぼつかなかった。周囲の拍手がゆっくりと私の鼓膜を刺激していた。
自分の胸中にある思いの経験にすり替えて「面白かった」「素晴らしかった」なんて簡単には口にできなかった。「いい」のか「悪い」のかさえもわからなかった。

「プール平」をはじめ、吉増さんの映像作品は、リハーサルなし、無編集の一発本番式らしい。
だからこそ、あんな勢いのある作品が生まれるのだろう。
高橋さんによる
「かつて水があったのだけれど、なくなったという空間を歩き回る、
あれほど“足”を感じる映画もない!」
そう、吉増さんの声と、視線がそのまま映像に反映されているにもかかわらず、
見ている私たちは撮影者の存在は感じなかった。いうならば、目が歩いている感じだった。
奇怪な万華鏡をのぞきこんだまま、ひとりあるきしている、何かの目だ。

そのあともトークは続いた。感覚でとらえていくしかなかった。
たぶん3日後、1ヶ月後、半年後、1年後、10年後あたり、
ぼろぼろと古い層がはがれていくようにわかってくることなんだと思う。
帰りに美術予備校へむかう。私としてはハードな感じ。
デッサン、今日であった“かたち”を頭の中へ刻みこむ、定着してほしい。
しなくてもいい。
プールの青、水の青、そして、吉増さんが引き寄せられたペットボトルのキャップの青、私の目に焼きついている。
万華鏡のように傾けたら、砕けて、結んだ手を離した。青、自在の青
満ち引きする。


*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*

北海道立文学館
「詩の黄金の庭 吉増剛造展」
2008年6月28日(土)~8月31日(日)
休館日 月曜日(7/21を除く)、7月22日(火)
開館時間 午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)
会 場 当館特別展示室
観覧料 一般600(480)円、高大生350(280)円、小中生250(200)円
( )内は10名以上の団体料金。

【関連イベント】 同館HPの案内欄から。 
 各イベント開催2週間前から電話で受付。事前申込みを(同館 TEL 011-511-7655) 
◆ トークセッション 吉増剛造の現在
6月28日(土)14:00~ 道立近代美術館講堂
 吉増剛造(詩人)
 小林康夫(東京大学大学院教授)
 高橋世織(東京工業大学特任教授)
 工藤正廣(北海道大学名誉教授)
◆ 鼎談1 言葉のざわめき、おとのねにおりてゆくとき
6月29日(日)14:00~ 当館講堂
 吉増剛造(詩人)
 柳瀬尚紀(英文学者)
 工藤正廣(北海道大学名誉教授)
◆ 鼎談2 エクリチュール、
書くことうつすことの現在 これからはたった獨りで歌うように映画をつくること

6月30日(月)18:30~ 当館講堂
 吉増剛造(詩人)
 工藤正廣(北海道大学名誉教授)
 高橋世織(東京工業大学特任教授)
◆ キセキgozoCine; vol.1 裏声=吉増剛造×工藤正廣
7月 1日(火)18:30~ 当館講堂
 吉増剛造(詩人)
 工藤正廣(北海道大学名誉教授)
◆ キセキgozoCine; vol.2 裏声=吉増剛造×野坂幸弘(北海学園大学教授)
7月 2日(水)18:30~ 北海道大学遠友学舎
 吉増剛造(詩人)
 野坂幸弘(北海学園大学教授)
◆ 吉増剛造主演 フィルム上映会 「島ノ唄」「彼岸から」
7月20日(日)14:00~ 当館講堂
◆ キセキgozoCine; vol.3 裏声=吉増剛造×工藤正廣
8月8日(金)18:30~ 当館講堂
 吉増剛造(詩人)
 工藤正廣(北海道大学名誉教授)
◆ ライブ・パフォーマンス Na entrada da casa das fogos (花火の家の入り口で)
8月9日(土)18:30~ 当館ロビー
 マリリア(ボーカリスト) 
 吉増剛造(詩人)
◆ ライブ・パフォーマンス Na entrada da casa das fogos (花火の家の入り口で)
8月10日(日)18:30~ 井上靖記念館(旭川)
 マリリア(ボーカリスト)
 吉増剛造(詩人)
◆ キセキgozoCine; vol.4 裏声=喜多香織
8月16日(土)14:00~ 当館講堂
 喜多香織(当館学芸員)
◆ キセキgozoCine; vol.5 裏声=工藤正廣×平原一良
8月17日(日)14:00~ 当館講堂
 工藤正廣(北海道大学名誉教授)
 平原一良(当館副館長)
◆ gozoCine;新作上映会(予定)
8月30日(土)18:30~ 当館講堂
 吉増剛造(詩人)

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by moonpower0723 | 2008-06-28 23:53 | 詩の仕事

「おおらかなリズム」展

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一昨日は下の記事(「ばらんす。」)を書いた後、夕方
北16条のテンポラリースペースへ
shuさんの個展「おおらかなリズム」を見に行きました。
私の方向音痴もだいぶマシになってきた気がします、すんなり到着しました^^
(といっても、通りかかった窓からshuさんの後頭部が見えたからですけど←)
驚いたのは、ギャラリーの広さがたまらなく心地よいこと。
広すぎてもどう歩いていけばいいのかわからなくなるし、狭くても作品との距離が近くなりすぎる。でも、ここは壁が際を這い、床が私の歩みを支えているのをはっきりと感じるのです。踏みしめるとギシッギシッと木目に震動が伝わります。当たり前として空間があるのです。絵、というより作品展という名の空間でした。
かるいからだ”のときは赤が強くて少しはらはらしたので、色数があり、ほっとしました。
それぞれの線が自由に吹き伸びてる、でたらめに、無秩序に?いや、面白い。
はしごで登る吹き抜けの2階は、少しこわいけれど、こわごわとパネルを覗き込む楽しさがあります。

そのまま2階のベンチに腰掛けて、愚痴をこぼしていたところ、渋い声が階下から聞こえてきました。shuさんではない。はて?と思って見下ろしてみれば、その方はニヤリと笑みをこぼされる。テンポラリースペースのオーナー、中森敏夫さんでした。
その後、中森さんの書斎にてお話をお聞きしました。
以前から何度かテンポラリー通信を拝見していた私にとっては、とても不思議な思いです。
中森さんもここ(「お月さまになりたい。」)をご存知だったので驚きました。
「『大人は過去が好き』、確かにそういう大人もいるよ。
でも、過去がないと現在はないんだから。」
同日思いのまま書き込んだ記事を、やんわりいなされて、どきりとしました。
詩人吉増剛造さんの「石狩シーツ」や、本来あった美しい札幌について、川にまつわるアイヌ語の快い響きや、57577(みそひともじ)のリズム、やわらかなバッハ……。
とうてい私など追いつけない話題で、相槌を打つばかりでしたが、だからそ行き(息)詰っていた心も、その視界も解かれていくようでした。この身は何も知らない、何もありはしない、それは恥ずかしいことではなかったのです。だって、知らないから吸収したいと思うのだもの。世界を吸収して、それを書くと心に決めたのだもの。書いたり描いたり弾いたり撮ったり演じたり人はするけれど、そこに意味をもたせるってどういうことだろう。ここにも、私の中にもあるはずなのに答えを見つけるのは難しい。だから、胸いっぱいに吸収することを自らに課そう。課さなくても毎日がそうなのですから。

中森さんの薦めてくれた
札幌で育った歌人、糸田ともよさんの歌集「水の列車」

水の列車―糸田ともよ歌集 (月光叢書)
糸田 ともよ / / 洋々社
ISBN : 4896748344




言葉だけが先に起きだし私を裏切ってゆく 空いっぱいの冬の蝶

ぱら、とめくったところで目に入ったその歌が、私へ光をぶつけてきました。
詩集と同じく、歌集も高額です。けれどもその場で迷わず買いました。
久しぶりにいい本の買い方をしたと思いました。
(第17回北道新聞短歌賞佳作受賞作であることを後から知りました。しかし、そんな肩書きが陳腐に感じられるほど素晴らしい歌集です)

さらに小樽の詩人、高橋秀明さんの詩集をいただきました。
第2回小野十三郎賞受賞詩集です。
「別冊・詩の発見」にもお書きになっている方でした。

言葉の河―高橋秀明詩集
高橋秀明 / / 共同文化社
ISBN : 4877390308



この2冊に共通していること、水――
中森さんのお話から、川は主流とたくさんの支流でできていることを知ります。
それはまるで、この身体に流れている血潮のようではありませんか。
ことばは水に似ている、と仰った詩のボクシング全国大会チャンピオンの木村恵美さんを思い出します。
器によって姿を変える水とどう向き合うか。そのままの私を映してくれるでしょうか。
みなも、水面――。

他にも吉増剛造展のパンフや、吉増さんの写真ポストカードをいただきました。
「水の列車」を開くと、タバコの匂いがします。私には慣れない匂い。
中森さんは言葉の自然な響きを楽しんでいます。「好きな詩人は?」と聞かれて戸惑った私の様子もすぐに察してくれました。あらゆるものを削られ、あらゆるものを捨てた人のまなざしでした。生まれて初めて、タバコの匂いを肯定的に受けとめています。あの煙のくゆらせ方は、ちょっと忘れられないのでした。
磨かれた一日でした。
うん、書けそうな気がする。

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
斎藤周展「おおらかなリズム」

会期:2008年6月7日(土)~6月22日(日) 
会場:テンポラリー・スペース
(札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503 )
時間:11:00~19:00 (月曜休廊)




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by moonpower0723 | 2008-06-17 12:53 | 美術部の人々、札幌アート
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金曜日までの4日間の試験が終了しました。
どっと疲れた。。。
ブログ更新できないわ、メールの返信が遅れるやら、ごめんなさい。

お知らせです^^

★岡部淳太郎さんが主宰されている詩誌「反射熱」第3号にゲストとして寄稿させていただきました。
「渇き」という詩です。
私が最近書いた詩の中では一番わかりやすいものだと思います。
あまり詩っぽくない詩です。

他にも、「反射熱」の同人として葛西佑也さん、木葉揺さん、塚本一期さんなど
魅力あふれる詩人の方の作品が読めます。

「反射熱」第3号(2008年5月23日発行)

 特集 詩の未来へ
 散文  未来への前書  岡部淳太郎
 リレー書簡  始まりからその先へ  
 散文  詩誌について考えてみた  木葉揺
 詩に向けて、応答のない問いを発する  岡部淳太郎
 詩  (だけどおそらくは君の眼差しを経由している……)  Differencia
 きみは国境線という概念をもたずに、それをこえていった  葛西佑也
 ちいさな命  神山倫
 車内の隣人  服部剛
 存在する猫  岡部淳太郎
 渇き  文月悠光
 雑草くん、やがて散れ  木葉揺
 Anonymous  塚本一期
 オムレツ  佐藤銀猫
 終わりではない  遠海真野
 散文  ブラックマヨネーズの漫才  木葉揺
 黒田三郎の〈目〉② ~『小さなユリと』について~(連載)  服部剛



1冊500円です。是非どうぞ。

「反射熱」第3号の注文は
こちらから
お願いします。


もうひとつお知らせ^^

IPプロジェクトから
4冊目の本、「Drop of Words」が出ました。

Drop of Words
iP project / / 太陽書房
ISBN : 4903447464



アンソロジー詩集「Drop of Words」、今回も参加しています。
「青いレモン」という詩です。
中学のときに起こった実際の事件を作品にしました。

参加者は今回さらに増えまして、なんと32人!ボリュームあります。

<参加者>(敬称略)
荒木 スミシ/空木 透/和泉 しよう/菊池 恵車甫/真山 義一郎/Lyenna/ミチタリル/明楽/三奈/青葉茂/山本 昇/未有花/月島 捷樹/成田 青央/美月 水兎/樋口 巧/佐々 林/文月 悠光/ガーニー田中/石瀬 琳々/雪粋/Excentric*Kanon/任 務城/阿部/青島 江里/今唯ケンタロウ/ゆら/ヤハギクニヒコ/鈴木 しづか/水延yuriko/おしり/恵


注文はアマゾンでできますこちらです。

IPプロジェクトの既刊三冊(「Be Free」以外)アマゾン一覧

アンソロジー詩集「Be Free」(「月の舟はくじけない」収)

★☆★

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by moonpower0723 | 2008-06-14 23:36 | 詩の仕事

黒猫crazy

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   蹴飛ばしたそばから悲鳴なんてあげるな爪先だけ氷室
   お呼ばれしたのさcrazy目を光らせ、飛びかかる、あっち
   むいてこっちむいてニャア!喉を鳴らせ喉を鳴らせ今こそ
   crazyこの目だけで、怖いことは何もない視線を向けた先
   からもうあっちの山肌は赤く燃えているあたしの爪先は狂
   っている冷たくくくく……crazy



 く
      

   ね


         こ





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by moonpower0723 | 2008-06-05 18:28 | わたし

文学少女は詩人をめざす


by moonpower0723