吉増剛造展 “鼎談1 言葉のざわめき、おとのねにおりてゆくとき”

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昨日に引き続き、今日も吉増剛造展に関するイベントへ足を運んだ。
北海道立文学館の講堂にて
“鼎談1 言葉のざわめき、おとのねにおりてゆくとき”

館内に入って驚いた。文学館の床に吉増さんの原稿の拡大コピーがまばらにちらばっている。吉増さんが歩いた後を追っているようだ。
昨日のトークショーは、吉増さんとその疾走についてのトークバトル(?)で、テンポのよさに飲まれていったが、今回の鼎談ではゆったりとした時間を感じた。

講師のご紹介

 吉増剛造(詩人)×柳瀬尚紀(英文学者)×工藤正廣(北海道大学名誉教授)

翻訳の壁を詩の言葉によって越えてきた柳瀬さん、
「吉増さんは半拍くらい先の音を聞いている。
それも今の音を聞きながら、半拍先の音を構築している」と話した。

始まってすぐに、羽生さんの話が出た。
まさかと思ったが、なんと棋士の羽生善治さんだ。
羽生さんが詩と関わっていたなんて!
詳細をあるページで見つけたが、吉増さんと今回の鼎談の講師のひとりである柳瀬尚紀さんも、羽生さんと過去に対談している。
対談の収録された本のタイトルは「対局する言葉」「盤上の海、詩の宇宙」。すてき。
吉増さんによれば
「羽生さんの思考の動きをじっと見ていたい。
対談したとき、
『将棋っていうのは互いに盤上で粘土をこねるようなものだ』って言っててね、
ソクラテスが同じようなことを言っています。粘土を脳に例えて。
でも、羽生さんはそんなこと知らないのにそう話したんです」
羽生さんというのは、盤上で詩を目撃されてきた方なのだろう。

今日も映像作品“GozoCine”が上映された。
“GozoCine”7本目の「熊野、梛の葉」である。
2006年12月6日撮影の15分29秒。

糸につるされ揺れる宝貝と。うつりゆく車窓の景色。
暗闇のトンネルの中で発光する、宝貝。
麦いろの畑をひた走る宝貝。火を打つような音で鳴く。
キセキによって時間が見える。
宝貝が本の上を這う。野口冨士男の「なぎの葉考」の世界をさ迷う。
貝の奇妙な影が、黒い活字に重なって、活字を食べている。
これは……吉増さんが貝になって旅をしているようだ。
キセキを付け忘れて、ノーマルな映像になった。
ノーマルピンチハンガーで橋を渡る。
残像を捨てて、目をカッと開いた感じがする。
吉増さん、限界になって橋の桟によりかかり、朗読し始める。
水が語りかけてくるところまでいかねばならないのだ。
力尽きるピンチハンガー。。。

「プール平」は本当に奇怪な感じがしたけれど、
「熊野、梛の葉」は少し滑稽な面白みがあって、安心して見れた。
見ていない人に説明するのはとても難しいけれど、
貝が旅行している、そんな映像だった。

今回も“本日限りです”資料が配られた。
その資料の一面に
アメリカの詩人エリザベス・ビショップの「Pink Dog」という詩の原文と、
その詩を小口未散という方が訳した「赤裸の犬」が載っていた。
「Pink Dog」すなわち「赤裸の犬」について吉増さんは
「エリザベス・ビショップ最後の作品をお土産として配りました。
おまえ乳首がある、母親じゃないか、おまえ子どもどこにやったのさ?
こんな剥き出しの犬見たことない!
我々の中にある骨だってこういう色をしてるんじゃないかな、身体の中で」
素晴らしい詩篇に出会えたイベントだった。

イベント終了後、「詩の黄金の庭 吉増剛造展」をいよいよ見ることにした。
閉館は17時だ。すでにそのとき4時半をまわっていたのだが衝動をおさえきれず、観覧料を支払おうと受付にむかったところ、
何も聞かれず「600円です」と言われる。
キョドリながら、学生証を取り出そうとすると
「あ、学生さんなんですか?」
「はい、高校生です。」
「350円になります」と告げられた。
記念すべき瞬間である。いつも中学生と間違えられるのに(えっへん

受付の方から「展示された詩を一編一編読んでいたら、全部見れませんよ」
と忠告されていたにもかかわらず、一字たりとも見逃すことができなかった。
細かな文字。“昔の人の字”を解読できない私の目には
吉増さんのくずされた、でも美しい字が一目では読めない。
読む前に見て味わい、そして目をこらして読む。
吉増さんの声が通路の壁に取り付けられた小さなスピーカーから流れ出てくる。
スピーカーに気づかないまま通路を歩き出した私はびっくりしてしまった。
あのアイディアはすごいな。
半分も見れないうちに、気がつくと館内アナウンスが流れてはじめた。
日を改めてまた足を運ぼう。

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文学館を出て、近くの神社に寄った。学校帰りにも以前寄ったことがある。
興ざめいってしまったが、くぐって厄払いをするという笹(?)でできた輪が印象的だった。

帰りに本屋に寄って、集英社文庫を買う。
“ナツイチ”を買うともらえるストラップが、去年より少し大きくなっている嬉しい。
でも、デザイン的には去年が好きかも。
実は去年のストラップまだ携帯につけてる私笑
ナツイチ限定で、太宰治が、漱石が、そして中也が、カバーイラストになってるッ(驚
この企画、「人間失格」だけじゃなかったのか。
中原中也の「汚れつちまつた悲しみに……」の表紙を見てほしい。

そんなわけで、ナツイチの中から2冊今年も買った。
「いじめの光景」「二十億光年の孤独」。
前者は学校のゼミ研究課題用に。
後者は、言わずと知れた谷川俊太郎さんの処女詩集。
1年生のとき英語の先生がOCⅠの授業で
「巻末の英訳が素晴らしい!是非買いなさい」と言っていたのをずっと覚えていて探していたのだが、集英社文庫だったのか。一般的によく買われている愛蔵版には英訳がなかった。
あのとき、先生が
「二十億光年の…喪失?だっけ?二十億光年の…」とどもっていたので
反射的に「孤独」と低い声で口にしてしまった。
その声は思った以上に響き渡り、
教室が一瞬しんっと静まり返った。
しらけた視線が刺さった痛み、いまだこの背中に覚えている。
もし「二十億光年の希望」とか「二十億光年の夢」というタイトルだったら
あの羞恥を経験しなかっただろうとも思う。
いくらなんでも授業中に「孤独」なんてつぶやいてしまうなんて。
どんな女子高生だ笑。
集英社のナツイチHPでは、同詩集が“いやし”ジャンルに入っている。
癒されるのだろうか、「孤独」なのに。


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by moonpower0723 | 2008-06-29 22:29 | 詩の仕事

文学少女は詩人をめざす


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