受賞のことば
2010年 02月 21日
初めての詩集を編む日々は、今まで生きてきた中でいっとう不思議な時間でした。十四歳から十七歳の間に書かれた、痛々しくも愛おしい二十四編。ひとつひとつと向き合って、重なり合う声たちを紙からひとひらずつ剥がしていきました。その営みの中、ふと「ホラホラ、これが僕の骨だ」という中也の声も聞こえてきたような気がします。
昨年の春、祖父が亡くなりました。詩集の中に収めた「骨の雪」という詩は、焼き場に降り積もる祖父の骨の粉々を詠った一編です。骨は「とんがってゐる」だけではありません、雪のように柔らかく、肩に降りてきます。こんな淡いものが、ひとのからだを支えているのかと驚くほどでした。雪はときに凍りつき、頬に痛いほどに降り注いできます。しんしんと降る、と言いますが、あれは嘘です。雪は冷たいのです。刺すように痛みます。これが骨。ねえ、中也にも教えてあげたい。
雪に埋〈うず〉もれた札幌の街がまぶしい、そんな卒業の季節。
詩集のこと、私自身のこと、支えてくださった皆さまに心よりお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
第15回中原中也賞 詳細
これを読み返すと、混乱が言葉に滲んでいる気がしてならない。
20分悩んだなりの、きちんとした感慨が刻まれている思う。
正直ひどく焦っていたから、オドオドしていて小学生に戻ったみたい。自分ってわかりやすいね。
by moonpower0723
| 2010-02-21 00:36
| 詩の仕事